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黒澤明の映画『酔いどれ天使』を観た。
なんでこの映画を観たのかというと、知り合いの演劇評論家で、最近は「江森盛夫の演劇袋」(エキサイトリンク参照)というブログを始めた、1930年代生まれの江森盛夫さんが、子役で出演しているというのを小耳に挟んだからだ。 江森さんはずっと、雑誌「噂の真相」に劇評記事を書いてた人でして、小さい頃は日本近代演劇のメッカ「築地小劇場」の舞台に立った経験もある。そんなコロボックルのような江森さんの子役時代を黒澤映画で観られるってんだから……って、知らない人には全然関係ない話題ですいません。 上石神井のツタヤに行ってみたら、8月閉店だって? 全然気づかなかったよ。仕方ないので西荻に戻り、ついにレンタルビデオの殿堂「レンタル・シップ」さんの会員に。DVDではなくVHSを借りたのも久しぶり。「レンタル・シップ」の会員証を手に、これでようやく本格的な「西荻びと」になったような気分。それにしてもレンタル・シップ、店の奥が深くなってるのね。全然気づかなかったよ。 さて、戦後すぐの闇市のような風景を舞台に、結核を患ったやくざ(三船敏郎)と、飲んだくれで怒りっぽいが実は情に厚い貧乏医者(志村喬)の交流を軸に、なんやかんやあって……と、いまさらこの名画についての説明は省く。医者の「日本人というのはすぐ死にたがる、自分が犠牲になりたがるからイカン」みたいなセリフで、この映画のテーマみたいなもんがすごく明快に提示される。公開は1948年、「とにかく生きろ」の精神が、ホントに身に沁みる世相だったのだろう。 で、メインのストーリーと全く関係なく、「ジャングル・ブギ」を歌う笠置シヅ子が挿入される。これがものすごいインパクト。こういうぶっとんだ場面をつっこむ、さすがは世界のクロサワ。 最初の方の場面、泥水の中で遊んでる子供たちが出てくる。医者がそこに駆け寄り「こんなキタナイ水を飲んだらイカンぞ!」と子供を叱ることで、医者の人柄をオーディエンスに了解させるという場面なんだけど、そこで叱られ、「テヘッ」と笑顔になるのがおそらく江森さんだろう。 もうビデオカメラが普及してからだいぶ経ってますから、子供の頃の映像が残ってる人も多いんでしょうけど、私なんか皆無ですよ〜。なのに1930年代生まれの江森さんにはそれがあって、しかも撮ったのが世界のクロサワですか! 軽い嫉妬を覚えた秋の夜長でした。
by enikaita
| 2008-11-20 22:10
| 映画
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