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メガネドラッグやメガネスーパーの店頭には、必ず超音波メガネ洗浄器が置いてある。小さなステンの水槽にメガネを浸しスイッチを入れると、超音波の微振動が汚れをおとす。きれいになったメガネで見た世界は、「黒は黒い」というような当然のことが新鮮になり、少しだけ生まれ変わった気分になる、というのは少し大げさかもしれない。
超音波洗浄器はたいていタイマーがついていて、洗浄に3分。そのあいだ、ただ待っているわけではなく、ちゃんとメガネをジャブジャブ揺さぶったり、底に落ちないように支えたりしなければならない。スイッチを入れたとたんに、私由来成分のモヤが水中に拡散する。つい5分前にここでメガネを洗った誰かの由来成分もこの洗浄液には紛れているわけで、きたねえなあと思いながらも、その汚い洗浄液がメガネをきれいにするのだから、おかしな話だ。きたないモヤが拡がっていくさまを眺めるのは、稼働中の全自動洗濯機を覗きこむのに似て、不思議と飽きない。 さていつもはメガネがきれいになるのをおとなしく眺めているだけなのだが、今日はなぜか、どうしてもこの洗浄水槽に指を入れたくなってしまった。だれかの由来成分できっととても汚い。しかし指を入れたらどうなるのか気になる。 店員に見つからないようにおそるおそる人差し指の先を水槽に浸すと、超音波の振動がピリピリと伝わり、指先からエクトプラズムのごときモヤが! 水槽をさらに汚してしまったが数秒で指がツルツルになった。これはいいかも。汚れがおちていくのが見えるのは爽快だ。ダイソンの掃除機だってゴミが見えるから売れてるわけだし。しかし私の指はかくも汚れていたとは。人間用の超音波洗浄をしてみたい。 やはり人間用の超音波洗浄器はあった。有名どころでは、電機メーカーのサンヨーが70年の大阪万博に出品した未来のお風呂「ウルトラソニックバス(愛称=人間洗濯機)」。当時250万円で市販された(らしい)超高級家電だ。「人間洗濯機」というあまりに乱暴なネーミング・センスにおそれ入る。現物は大阪・守口市にあるサンヨーミュージアムで見ることができるが、入浴することはできないのでご注意を。 万博情報はこちらがとても詳しいです。
by enikaita
| 2006-06-05 11:21
| コラム
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