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「日報」を名乗りながら、更新はときどき。
by enikaita
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児童劇、あなどる勿れ。(沖縄三日目)
「キジムナーフェスタ」は、児童劇の国際フェスティバル。今日は二本の芝居を見に行きました。

一本目はイタリアのカンパニーによる『ウナ・ファミーリャ』という作品。「ある家族」というあたりの意味でしょうか。自分たちが思い描いた理想の家族像に近づくために、必死に「家族」に取り組む親子三人を、狂気じみた凄まじいハイテンションで演じる。フィジカルで見せる側面が強く、いちおう「子ども向け」ということもあってかセリフは少なめ。過剰なかたちで抽象された「生活の風景」を、舞台上の人間が血管ブチ切れそうになりながら繰り返し演じるという行為のバカバカしさに、ぐぐぐっと惹きつけられた。最後には「もう一度、やりなおせるよ」というような意味のセリフが、これまた過剰にくり返される。この行為はそのまま、家族に「もう一度」はない、ということを強調していくのである。

二本目はベトナムの伝統水上人形劇。1000年(!)の歴史を持つ伝統芸能である。座・高円寺でも上演されたようなので、もしかしたら見に行った人もいるかもしれない。野外の特設テントの中には色鮮やかな建物が鎮座し、その前には水が張られている。水には色がつけられていて、水中の様子は観客にはわからない。その水上でめちゃキュートな人形たちが動き、動かす人は舞台裏にいるのか、はたまた水中にいるのか、そのあたりのしくみは伝統の秘伝で、ヴェールにつつまれている。
舞台上で演じられるのは「稲作」「狩猟」「祭祀」から、「性」にいたるまで多種多様。さまざまな生活の様をわかりやすくあらわし、小さな子どもたちが触れる最初の「社会教育」というような役割を担いながら、1000年を生き抜いてきたのであろう。素朴と洗練を併せ持つ舞台に魅了された。
脇にはヴェトナム伝統芸能の楽団がいて、京劇にちょっと似たような感じで舞台を盛り上げるのが楽しい。カーテンコールにはユビ笛の嵐。オキナワだぜ〜!

ともかくこのフェスティバル、異様にレヴェルが高いのである。これまで児童劇をあなどっていたことは否めないが、少なくともこの二本に関しては瞠目した。そこにはすごい世界が拡がっている。他のも見たくなってきたけど時間がないよ〜! 
どの作品も子どもの集中力の持続時間にあわせてか、上演時間は一時間程度。それがまた疲れた体にうれしい。
児童劇、あなどる勿れ。(沖縄三日目)_f0072231_10244191.jpg

by enikaita | 2009-08-05 23:59 | 舞台芸術
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