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年度末の慌ただしさが一段落したので、部屋の大改造&大掃除に着手することにした。散らかっていたものや小さい本棚に入っていたものを、新しく買った大きな本棚におさめていく。その場でいらないと思ったものは、捨てるか、売ることにする。なんか爽快感がある。
しかし、その時はもう聴かないだろうと思っていたCDが、なくなった後に聴きたくなったりする。しかもCDなんて、その気になったらすぐ買えてしまうものだけに、また買うのもバカバカしいし、歯がゆい思いをする。頭の中では中国の「文化大革命」を思い出してしまう。捨てる時の気分の高揚感と、しばらく後のちょっとした後悔。だからといって、何でもかんでも保存しておくわけにもいかない。手に取って捨てるか捨てまいか、どこに置くのが収まりがいいのかと、無駄に悩んでしまう。掃除は先に進まない。 ふと、太田省吾『ヤジルシ』の一場面を思い出した。 一人の女が右手に鞄、左手に紙袋を持って佇んでいる。女は右の鞄から一本のキュウリを取り出し、しばし考えた後、左の紙袋にそれをしまう。次に、左の紙袋から一本の茄子を取り出し、またしばし考えた後、それを右の鞄にしまう。それをくり返す。 傍目からは全く意味のない行為が、その人の中で何かを整理することになるらしい。 演出方法そのものに目が行ってしまいがちだが、太田省吾の作品は、登場人物が混沌の中からいつの間にか恢復していくなかで、何かを整理するのだ。それがあの演出方法につながっているのだろう。 「文化大革命」のつもりで掃除を始めても、気がつくと太田省吾の作品のように超スローだったりする。古い本棚から新しい本棚に移すだけのことだから、キュウリを右から左に移動するように、けっして発展的な活動ではないのかもしれない。それでも、ごちゃごちゃしていた部屋と私は次第に落ち着きを取り戻しはじめたのだった。
by enikaita
| 2005-04-27 23:53
| コラム
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