福島の寂れた炭坑町の打開策として計画された、常磐ハワイアンセンター創立の実話をもとにした映画。炭坑町の田舎娘たちがフラダンサーを目指して猛特訓する。事前情報では『ウォーター・ボーイズ』や『スウィング・ガールズ』みたいな「青春・集団創作もの」といった感じなのかと思っていたし、実態としてもそういう部分は大きいんだけど、むしろ『リトル・ダンサー』『ブラス!』『フル・モンティ』に代表されるような、いわゆる「イギリス炭坑もの」との親和性の方がはるかにつよいし、製作上でもかなり意識しているものと思われる。つまり『ウォーター・ボーイズ』とかよりも、動機に強度がある点でちょっと違いがある。 寂れた炭坑の、男くさい鬱屈したエネルギーが、何らかの表現行動を結果として押し出すという構図がこれらの作品に共通していて、その一連の流れのなかに雇用・労働問題やら、ジェンダーやら、ドメスティック・バイオレンスやらを容易に見出すことができる。でも『フラガール』では、そういったストーリーに派生する社会批評めいたことにはあまり意識が行かなくて、純粋にフラダンスそのものの場面が実はいちばん良かったりもする。 後半、超満員の客席を前にフラガールさんたちがフラダンスする場面があるんだけど、このダンスの運動量ってなかなかきつそうな感じなんですよ。この手の映画にある発表会的な場面って、いがいと印象に残らないことが多いんだけど、この映画は踊りもちゃんとしてる。それになにより観客の描写が圧巻。昭和40年という設定の何百人かの人が客席を埋め尽くし、男は黒ブチメガネに襟のでかいシャツとか、女はおばさんパーマとか、それぞれのディティールがすごいこまかい。フラダンスに合わせて客席全体が体を動かしてしまうという一瞬のカットもリアリティがあって、思わず歴史を目撃したような気分になる。 『フラガール』オフィシャルサイト 常磐ハワイアンセンター(現・スパリゾート ハワイアンズ) *常磐ハワイアンセンターって名称はなくなってたのか。知らんかった。
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