![]() 季刊発行の演劇評論誌「[第三次]シアターアーツ」の49号(2011冬)が、昨年末に出ています。 今号の特集は「ポストドラマ演劇〈以後〉」。12年ほど前にドイツの演劇学者のハンス=ティース・レーマンさんが提唱した、というか言葉を作った「ポストドラマ演劇」について、最近はどうなってるのよということを、本人の論もまじえて検証した特集です。 ちょっと専門的なのでそれはさておきまして、今回の注目は美術家のやなぎみわさんが手がけた『1924』シリーズの既発表作2本(『1924Tokyo-Berlin』、『1924海戦』)一挙掲載です。やなぎさんといえば、若き女性が自らの半世紀後を演じた写真作品「マイ・グランドマザーズ」シリーズがめちゃめちゃ有名ですが、最近はさらに演劇的なアプローチをを深め、池袋駅前の公園で『カフェ・ロッテンマイヤー』(『アルプスの少女ハイジ』に出てくる感じのあまりよくない年増メイドに扮した人が給仕をするカフェ。ときどき演劇を上演)をプロデュース。演劇界でも注目されています。 そして『1924海戦』ではついに劇場進出。この作品は、1920年代・日本の演劇運動を牽引した土方与志らをフィーチャーしたものです。こうした演劇史的な検証をふまえたような舞台が、なぜかこれまで演劇界ではあまりなされなかったのですが(近親者や直接の師弟関係がある人など、彼らと距離が近すぎるからかもしれません。あるいはどうせ見ることができない昔の演劇には演劇人の興味が向かないのかも)、美術の世界から果敢に飛び込んできたやなぎさんの舞台は、平沢計七の死に際しTwitterのタイムラインが埋まり、小山内薫がSkypeをあやつるなど、びっくりのディティールもありました。当時の表現主義の舞台を、80年前の築地小劇場『海戦』の舞台写真から再現したのにも驚きました。 やなぎさんのインタビューも併載。ちなみに続編を4月に京都でやるみたいですよ。 ほかには別役実さんと野田秀樹さんの対談「大震災と演劇」。二人の劇作家が震災後、どのようなことを考えていたのか、とても興味深い記事ですよ。 今回の表紙写真は「彩の国さいたま芸術劇場」。公演終了後、ダッシュで劇場を飛び出して、お客さんが出てくるところを撮影しました。 シアターアーツは、紀伊國屋みたいな大きな本屋さんでなら取り扱ってますので、手にとってみてくださいませ。
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